心が引き裂かれてしまうような経験を何度かすることで得られる智慧がある。
それは残存したものを慈しむしかないという覚悟である。
失う経験はまさに闇であるように思う。
愛別離苦である。
理想に燃えることは素晴らしいことである。
光の中においてさらに輝きを求めていく。
これは天道とも言い得る。
ただし、辛い経験がないということは闇落ちの危険を内包しているということでもある。
若さというものが強くも脆いわけはそのあたりにあるように思う。
辛い経験とはどんな経験だろうか。
私は最初からずるをする人間は永遠に辛い経験はできないと確信している。
辛い経験とは誠実さが欲望に押し負けることだと思う。
理想が現実に負けることでもある。
手が届かない思いである。
人はそういう辛い経験をへて人情というものを理解し他者を許す。
私の保守思想の核心はこのあたりにある。
そして、そうして温かく少し緩められた心境から己自身を再度奮い立たせていくのだ。
自らの役割を全うするために。
ここが私の起点である。
傷は一生治らない。
乗り越えるとそれでよいと思えるようになる。
治そうとあがくうちはまだ辛い時期は続くはずである。
あがけばいいと思う。
自分をごまかすことが一番よくない。
しかし、乗り越えると大切なことは治すことではないことが分かる。
今あるものにもっとフォーカスしていくべきだ。
コスモが湧きたつポイントというものは必ずある。