最後の祈り

我ら一同、未来永劫、逆賊の誹りを受けることになるが、それでもよいか

紙一重の差

もう8年くらいになるか。

テレビである父子家庭の特集がやっていた。最初は何気なくみていた。

小学1年生くらいの娘と二人暮らしの家庭だったと思う。

昼時に父親がラーメンを茹でていた。

娘は隣の部屋で寝転びながら楽しそうにテレビをみていた。

ほのぼのとした家庭にみえた。

父親が盛り付けの段になってニンジンをウサギの形に切っていた。

インタビュアーがそこを逃さず質問した。

父親は手を休めることなく「せめてこういうところだけは大事にしたいんです。」と答えた。

 

私はその言葉に心底感動して目が覚めた思いがした。

決して物質的には豊かな生活とはいえないかもしれないけれども、そのほんの少しの工夫に子に対する愛情が溢れているようにみえたからだ。

美しい光景だった。

 

大切なことは紙一重のところに宿る。

そんなイメージをあの父親から学んだ。

これは万事に通ずるように思う。