ハーデス城の結界で10分の1の実力も発揮できずにラダマンティスに敗退した黄金聖闘士達。
感情で挑みただ相手の結界につかまった結果のようにも見える。
しかし、この戦いには深い意味があった。
おそらく彼らはすべてを理解した上で挑んでいる。
彼らはこの絶対に不利な状況下における戦いを通してコスモをエイトセンシズに高めることができたのだ。
のちにアテナのコスモを受けて冥界において蘇る。
乙女座バルゴのシャカも単身自らを死地におくことでコスモを究極にまで高めエイトセンシズに覚醒した。
自らをあえて死地におく。
これが通常の方法なのだろう。
ただ、ライブラの童虎とジェミニのカノンは自力でエイトセンシズに目覚めている。
童虎は前聖戦の生き残りの屈指の知恵者であり、カノンはかつて神すらもたぶらかした男である。
今地上ですらこの冥界のように様々な結界が敷かれている。
金、権力、名声などすべて六道の罠であると言っていいだろう。
感情で挑めばその悪しき結界にはまり身動きがとれなくなるに違いない。
生きながらにして六道の掟に縛られない唯一の手段は、エイトセンシズつまり阿頼耶識に目覚めること以外にないのである。
仏典には常楽我浄とあるが、まさにその境地といえる。